ウェブ解析士・テクニカルディレクター深沢のITブログ

WACA認定ウェブ解析士です。テクニカルディレクターとしてWebサイトの新規・改善・技術提案を行ってます。技術も解析も兼ね備えた提案力が私のウリです。

ウェブサイトの新規・リニューアル提案方法

フレームワークを活用したウェブサイトの提案方法


既存のウェブ改善提案でも、新規提案でも、クライアントへ説得力のある提案を行う必要があります。ここでありがちなのが、新規でもリニューアルでも、デザインカンプだけ見せる、ビジュアルだけの提案です。私も以前はそうしてました。デザイン画像を見せて、その良さを一生懸命アピールするのです。

f:id:taka_fukasawa:20150820180819j:plain

しかし、見た目だけのデザインは、サイト構築の本質ではないはずです。前回の記事でお伝えした通り、サイトには、大きな目標と施策があって、初めて機能するのです。

その為には、「マーケティングフレームワーク」を活用した、提案を行います。

ウェブ解析士では、先ずはじめに、「3C4P5F分析」を学びます。3C4P5Fに関しては、ウェブ解析士協会のサイトにも、詳細が掲載されていますので、ご参照ください。

www.web-mining.jp

 

3C4P5F分析

3C4P5F分析は、下記の内容です。

■3C分析

「市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3Cです。この3C分析を行う事で、サイトや施策で重要なKSFを導いていきます。KSFについては、前回の記事を参考にしてみてください。

■4P分析

「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」の4Pの事です。自社の強みや弱み等を理解し、製品や収益の改善の必要性や課題を確認し、戦略を立てていきます。

■5F分析

「既存競合」「新規参入の脅威」「代替サービスの脅威」「買い手の交渉力」「売り手の支配力」の5つの脅威の事です。市場や業界の実態を理解し、外的要因による脅威から、備えや施策に対する戦略を考えていきます。

このフレームワークを使うことで、ウェブだけに囚われない、事業全体としての広い視野で戦略を考える事が出来ます。

 

競合他社のサイト分析

提案する内容はあくまでウェブですから、競合他社のサイト分析が必要です。競合と思われる会社のサイトを探し出し、そのサイトの特に良い部分に注目します。そして、それがどのように作用するのか?スクリーンショットを交えて、詳細に解説していきます。そうする事で、現状の自社サイトに足りていない部分、差別化するべきポイントが見えてくるはずです。

 

新規サイト・リニューアルの提案内容

提案書に盛り込む内容は、主に下記の様な内容になります。

■分析データの掲載

先ず、事前に調べた3C4P5Fの分析データを掲載します。その上で、これから行う施策の方向性の確認と決定を行っていきます。提案書には、ストーリー性を持たせる事で、説得力も高まるはずです。分析している途中で、クライアントでなければ分からない要素に関しては、可能であれば、事前にクライアントへ確認を行います。不明な要素は、なるべく一番最初に確認を行う事で、間違えたまま提案してしまう事を防ぐ事が出来ます。

 

■競合他社のサイト分析結果

競合他社のサイトが、どのような取り組みを行っているか?その良さは何か、分析を行います。競合のサイトにはあって、自社サイトにはない独自の取り組みやコンテンツを確認し、サイト改善に必要な施策を決定していきます。

 

■自社サイトの分析結果

リニューアル提案等で、自社サイトが既にある場合、自社サイトの分析結果を掲載し、サイトの問題点を提示します。また、競合他社の良い所との比較を徹底的に行い、どの様にするべきなのか、施策の方向性を決めていきます。Googleアナリティクス等のデータをクライアントから事前にもらう事ができれば、その課題も掲載していきます。

 

■KSF、KGI、KPIの設定

前回の記事で掲載した、KSF、KGI、KPIを設定していきます。既にサイトがあり、Googleアナリティクスによってデータが取得出来ているようであれば、そのデータの、どの部分の改善が必要か、提案する施策が、どの指標にどの様に影響するのか、詳しく説明を行います。そうする事で、提案内容への説得性が高まります。

 

SEO対策の提案

Google検索で出てこなければユーザがサイトに辿り着く事が出来ません。また、想定したユーザでない人がアクセスした場合には、直帰率の上昇を招く可能性があります。現状のサイトではSEO対策が出来ているか?コンテンツ内のキーワードやhtmlの内部構造を見直し、流入の改善を提案します。

 

■プロモーションの提案

例えばリスティング広告を出稿し、サイトへの流入を増やす手法や、紙媒体とLPによるクロスメディアでの誘導、あるいはキャンペーンを行い、イベントへの参加者を募る等、KPI改善の為の施策を考えていきます。

 

■技術導入の提案

KPI改善の為に、必要な技術の導入を行います。例えば、モバイルからのアクセスが多く、離脱率が高い場合には、レスポンシブ対応を行い、直帰率や離脱率改善を目指します。サーバーのレスポンスが悪い場合には、ホスティングサービスの変更提案も行います。その他、ターゲットとするユーザの利用環境を意識した技術導入を提案します。

 

■サイトデザインの提案

利用者にとって、サイトを見やすく、フロー改善に繋がるレイアウト等を考えます。利用者の身体的能力に合わせたUIを意識し、例えば年齢層が高めであれば、文字やボタン類の大きさ、レイアウトの間隔、コントラストを調整し、視認性を高め、難なく利用出来るサイトデザインを作る事が重要です。

 

■コンテンツの提案

各コンテンツの内容を見直し、離脱率等の改善を狙います。SEOにも影響しますので、お知らせやブログ等、Google検索にインデックスされるコンテンツ数を増やす工夫や、キーワードに反映された文脈等、しっかりとしたコンテンツ作りを提案します。

 

■サイト運営の提案

施策ばかりに目が行きがちですが、実際には、運営を行わなくてはなりません。サイトの運営方法を考え、クライアントにとって負担の低い方法を提案します。例えば、記事の更新をクライアントにお願いする場合には、Wordpress等のCMSの導入を技術導入の提案に盛り込みます。メルマガが必要であれば、メルマガ配信方法やサービスの案内を行います。また、脆弱性や万が一に備えたバックアップ等の保守的な提案も必要に応じて行います。

 

サイト提案で重要な事

フレームワークは様々あり、案件によっては、分析に必要なフレームワークが異なる場合があると思います。しかし、ウェブ解析で重要なのは、サイトデザインだけに偏った提案ではなく、事業としてのサイトの提案が行えるかどうかです。ウェブの導入には一定のコストが掛かりますから、これを経費とすれば、費用対効果も一緒に考える必要があります。具体的に数値に結びつかなくとも、ウェブサイトがある以上、最低限、カスタマーに対するフォローに繋がったり、お問い合わせや申し込みの窓口になる等、サイトには目的や役割があるはずです。それをゴールと考えた、施策を盛り込んだ、提案書づくりを目指す事が重要です。

 

www.orionstork.jp